与良木隧道

トンネル名称 与良木(よらき)隧道
路線名  
所在地 設楽町清崎
延長(m) 35m
道路幅員(m) 5.0m
車道幅員(m) 4.0m
歩道等(m) 0m
有効高(m) 5.0m
竣工年度 明治27年(1894年)*1
壁面 内装なし 素掘り(覆工・セメント系*2
路面 セメント系
照明 なし
通行制限 高さ制限3.2m*3
その他  
データは特記なき場合は平成16年度道路施設現況調査による
*1「愛知県の近代化遺産」より
*2現地目視による
*3現地道路標識より
調査日 2007年3月21日



 北設楽郡設楽町と新城市(旧鳳来町)との境にある与良木峠にある明治時代のトンネルです。
明治27年竣工と愛知県内の近代道路トンネルとしては最古の存在で、重厚な石積み形式の面壁が印象的で同時期に作られた伊世賀美隧道とよく似た印象を受けます。
 現在では一市町村道のトンネルですが、かつては伊那街道の要所に位置しこのトンネルの開通により荷馬車による交通が可能になりました。その後80年以上に渡り伊那街道を南北に結ぶ要所として機能し昭和30年代には県道指定も受けましたが、昭和53年稲目トンネル開通により交通の流れも県道指定もそちらに移り現在ではひっそりと余生を過ごしています。

 新城市側の坑門です。
小さいながら切石が積み上げられた歴史を感じさせる面壁をしています。
 あまり目立ちませんが両サイドにはピラスターがちゃんとあります。
この地方初の近代トンネルのせいか、壁面の切石がやや不揃いなのが興味深いです。
 笠石と帯石に挟まれ立派な扁額があります。
右書きで「南設楽 輿良木隧道」と彫られています。
 内部は入り口付近は石積み構造ですが、中心付近はコンクリートになっています。おそらく入り口部分以外は素掘りだったのを後年になってコンクリートで補強したのでしょう。
 入り口付近の石積み部分です。
 設楽町側の坑門ですが、こちらは非常に残念な状態になっています。
おそらく土砂崩れ等で坑門が損傷したのでしょう、その復旧に際し元の切石ではなくコンクリートでお手軽に処理されてしまったようです。
 愛知県内では最古参のトンネルだけに残念な処置です。
 コンクリートで作り直した坑門の上に扁額が取って付けた様に置かれています。形態からして災害の際難を逃れたオリジナルの扁額だと思います。
 こちらは「よらき」と平仮名書きになっています。この地方のトンネルの扁額は片方が漢字書きで、反対側は平仮名というのが結構ありますがこのトンネルがその元祖のようです。



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初稿:2009年3月8日