鉢地坂隧道

トンネル名称 鉢地坂(はつちざか)隧道
路線名 国道473号線
所在地 愛知県岡崎市鉢地町
延長(m) 468m
道路幅員(m) 5.2m
車道幅員(m) 4.7m
歩道等(m) 0m
有効高(m) 4.0m
竣工年度 1933年(昭和8年)
壁面 覆工 セメント系 内装なし
路面 セメント系
照明 あり
通行制限 高さ制限3.3m注1
その他  
データは特記なき場合「平成16年度道路施設現況調査」より
(注1)現地目視による
調査日 2007年3月10日



 国道473号線の蒲郡市と岡崎市との境にある鉢地坂トンネルです。読み方は平成16年度道路施設現況調査によると「はつちざか」、所在地が岡崎市鉢地(はつち)町なのでこれでよいと思いますが、「はっちざか」との表記も見られます。
 昭和8年竣工の古いトンネルで年代からすると「鉢地坂隧道」と思われますが、現地の扁額が失われているのでよく分かりません。ただ開通記念碑に「隧道」ではなく「トンネル」という言葉が使われているので当時より「鉢地トンネル」と呼ばれていたのかもしれません。
 このトンネルのある鉢地坂は蒲郡と本宿を結ぶ唯一の道路でしたが、急峻で険しく地元住民からは路線改良の嘆願が度々なされていました。
 昭和のはじめに愛知県は犬山と蒲郡に観光道路を整備することになり、それに伴うアクセス道として、県道切山蒲郡停車場線(現国道473号)が整備整備され鉢地坂トンネルが建設されました。
 当時この辺りは「新箱根」と呼ばれ、この道路も「新箱根観光道路」と命名され観光バスが行き交っていたそうです。

 南向き蒲郡側の入り口です。
 深く切り込んだ山肌に重厚なコンクリート製の坑門が口をあけています。
 コンクリート製のトンネルポーターですがよくある無味乾燥なものではなく、こったデザインがなされています。
 トンネル内部です。
 外見に比べると内壁が新しい気がします。後年に改修されたのかもしれません。
 建設当時はかなり断面積の大きいトンネルだったと思いますが、やはり現在の目で見ると小さいです。車のすれ違いがぎりぎり出来るくらの巾しかありません。にもかかわらず、車の通行が頻繁にあり結構怖いです。
 北向き、本宿側の入り口です。
 坑門は南向きと同じデザインです。
 北側入り口から見たトンネル内部です。
 内部はおおむねコンクリートで覆われていますが、中央部など一部に岩盤が剥き出しの部分もあります(コンクリート吹付済み)。
 また、写真のように北側入り口部は金属板の補強が入っています。
 扁額はなぜか両方の入り口とも失われています。
 何か工事の際はずされたのか盗難にあったのか、はたまた戦時中に供出されたのか理由は分かりません。
 コンクリート製ながら凝ったデザインの坑門をしているのは、観光道路として建設されたからでしょうか。
 南側入り口付近に建っている開通記念碑です。
 下のほうのプレートにはトンネル開通の経緯が書かれています。



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初稿:2007年03月18日
名称をトンネルから隧道に変更、文章追加:2009年12月31日
地図リンク修正:2015年01月03日