伊世賀美隧道

トンネル名称 伊世賀美隧道
路線名 旧国道153号線
所在地 豊田市連谷
延長(m) 308m
道路幅員(m) 3.2m
車道幅員(m) 2.7m
歩道等(m) 0m
有効高(m) 2.5m
竣工年度 明治30年
壁面 内装なし 覆工
路面 アスファルト系
照明 なし
通行制限 高さ制限2.2m(注1)
その他 登録有形文化財(平成12年)
データは特記なき場合は平成16年度道路施設現況調査による
(注1)現地目視による
調査日 2007年3月10日



 おそらくは愛知県内でもっとも有名なトンネルである「伊世賀美隧道」です。
 坑門、内部とも石積みのこのトンネルは明治30年竣工とすでに100年以上の歳月を過ごしています。明治時代に建設された近代道路トンネルで、ほぼ完全な形で残っていて現在でも使用されているものは全国でも数少ないです。
 愛知県内で他に石積み式のトンネルは、「与良木隧道」と「本郷隧道(内部は煉瓦巻き)」がありますが、両トンネルとも後年の災害により片方の坑門が失われてしまっています。
 明治中期とまだ日本のトンネル技術黎明期であるゆえ建設工事はかなり難航したそうです。当初の計画では煉瓦巻きによる建設予定でしたが軟弱な地質と湧き水に苦しめられ、最終的には石巻き立てに設計変更されて完成しました。
 このトンネルの完成により荷馬車による物流が盛んになり、三河山間部の交通が大いに促進されたといいます。

 西向き豊田市方面側の入り口です。
 国道指定から外れてすでに半世紀近く経ちますがいまだ健在です。
 小ぶりながらも重厚な坑門です。
 坑口が二重に巻かれているのが目を引きます。内側は後年補強されたものでしょうか?しかし後から切石で補強するというのもありえないような気もします。
 扁額です。
 新トンネルは「伊勢神」ですがこちらは「伊世賀美」となっています。
 トンネル内部です。
 自動車が普及する以前のトンネルですので、車一台がやっとの大きさしかありません。
 照明は割と短い間隔で取り付けられていますが点灯していません。どうも消しているのではなく既に機能して無いっぽいです。
 全面石巻きですばらしいです。
 トンネルの奥のほうは落書きもほとんど無くいい感じです。
 所々、広くなっている部分があります。
 これって、広くなってる部分は巻き石が1重しかないのでしょう。
 岩盤の弱いところもしくは漏水の多い所だけ石を2重に巻いてるんでしょうかね。
 後年の改修で一部コンクリートが巻いてある部分もあります。
 反対側、稲武方面の入り口です。
 近隣の同時期のトンネルである「与良木隧道」や「本郷隧道」は災害により片側の坑門が失われてしまっていますが、このトンネルは両方ともきれいに残っています。
 実にいい雰囲気のトンネルで一見の価値有です。
 ただし、見学の際は幽霊トンネルとか言って騒いだり、ましてや落書きなど以ての外です。



愛知のトンネル一覧へ


初稿:2007年03月19日